クロケット&ジョーンズ シュータン(ベロ)修理
今回は
ベロ部分の修理です。
犬にかじられてしまったとのことですが、
ベロの部分だけでしたので良かったです。
先に仕上り画像です。
紐を締めると違和感のない仕上がりになります。
今回のような元の革が無くなってしまっている場合、
新たに別の革を用意する必要があるのですが革の質感が合わないことが多く悩みます。
今回もどうにも質感の合うスエード革を見つけられなかったので、
買いました、一枚物の革。
ちょうど靴の製作に使いたいと思っていた革なので良かったです。
イギリスのタンナー、
チャールズ・F・ステッド社のスーパーバックと呼ばれている
とても綺麗なスエード革です。
キメの細かい起毛で肌触りも良いです。
ちなみに、
スエード=革の裏面を起毛させた革。
ヌバック=革の表面を起毛させた革。
となります。
では素材も揃いましたので修理していきます。
まず位置を決めます。
紐を締めた状態で縫い目、革の継ぎ目が見えなくなる位置、
ハトメ金具で縫い目が痛まないよう、ハトメにかからない位置、
それらを考慮して位置を決めます。(銀ペンの位置です)
位置が決まれば革包丁でスパッといきます。
表革、裏革の重なり合う位置をずらしておきます。
手前が使用頻度の一番高い刃物、革包丁。
革の裁断からソールの切り回しなどいろいろな場面で登場しますが、
切る場所、位置によって使い分けます。
奥の丸っこい刃物は、包丁が入っていけないところを
切ったり薄く漉いたりするのに重宝します。
(刃物や針など種類は沢山ありますので別の機会に紹介できればと思います。)
包丁と丸っこいので重なり合う部分を薄く漉きます。
その後、
新しい革を裁断、漉き、貼り合わせて、縫付けます。
ペースが上がると写真撮り忘れます….。
仕上がるとこんな感じで、
紐を締めると縫い目も見えません。
革の質感も今回はバッチリ合っています。
本日もありがとうございました。