オールデン、リウェルトとオールソール交換。
今回はオールデンのリウェルト、オールソール交換です。
前回からの続きとなっておりますので是非こちらも参考にしてみてください。
今回、リウェルト(ウェルト交換)の作業工程の画像をのせておりますので、
オールデンに限らず、グッドイヤーウェルテッド製法の靴の構造についての
参考になるかと思います。
では、
修理前の画像からご確認ください。
アウトソールともにウェルトも削れてしまっております。
このままですとソール交換の際に、出し縫い(ウェルトとアウトソールの縫付け)を
掛けられませんのでウェルト交換後にオールソール交換の作業となります。
では、進めていきます。
まずはソール、ウェルトをバラします。
もともと入っていたコルクや接着剤などを取り除き、
出来る限りキレイな状態にします。
取付けのイメージとしてはこんな感じです。
次に、縫付ける糸の準備をします。
ウェルトと中底(靴側)を縫うのを「すくい縫い」と言いまして、
使用する糸は9本撚りの麻糸を使用します。
糸の強度を上げるために「チャン」を糸に擦り込んでいきます。
(チャンとは松脂に油、ロウなどを混ぜた物になります)
こちらの糸の先端を、
一度、撚りを戻しまして、
全ての糸先を漉いた状態にします。
地味な作業ですが飽きずに読み進めてくださいね(^^;)
次に2本に撚り直します。
さらに一本に撚り直します。
糸の先端が細~くなっているのが分かるかと思います。
次に糸にチャンを擦り込みます。
しっかり熱を入れて浸透させことが重要になり、
糸の強度が全然違ってきます。
こちらが擦り込んだ「チャン糸」ですが、
(チャンとは松脂に油、ロウなどを混ぜた物になります)
シュンッとして丈夫な糸になりました。
細~くした糸先に針をかけます、
なぜ糸先を細くしたのかと言うと、
針を掛けた際に糸が太くならないようにしているんですね、
最小限の縫い穴で縫っていく為の段取りです。
手に持っているのは「すくい針」。
糸側の針とすくい針はアーチが合うように
針を加工しています。
ようやくウェルトを縫っていく段階です。
地味な作業が続きますが読み進めてくださいね!(^^)!
靴に掛けているベルト状の革を「ワゲサ」って呼びます。
靴を膝に固定することが出来るので両手が使えるようになる優れものです。
では、ウェルトを縫い付けていきます。
この縫付けを「すくい縫い」といいます。
まずすくい針を貫通させて、
糸先の針を交差させます、
こちらの糸は指に掛けて、
こちらの糸はすくい針の柄に絡めて、
お互いの糸をグッと引いて締めこみます。
この繰り返しで縫い進めて、
リズムを掴んでペースが上がってくると、
縫い進めていく感覚が心地よく感じます。
ひたすらテンポよく、
すると、
縫いあがりました。
ハチマキ(ヒール周りの革)、シャンク(鉄芯)をセットし、
コルクを入れて、
アウトソールを貼付けます。
革包丁で余分なソールを切り回し、
ソールの幅をグラインダーで調整していきます。
ここで、
底縫いの工程がはいりまして、
ヒールを積んでいきます。
ヒールバランスは重要ですので、
しっかり調整していきます。
ヒールのセットを終えたら、
ソールの仕上げに掛かります、
今回はソールの側面の形状をしっかり見せたいので、
靴製作に使っている道具なども用いています。
こちらは「豆カンナ」
丸刃になっていて凹形状に削れます。
ソール側面の形状を整えてゆきます。
こちらは「面取り包丁」
ウェルト上端を整えてゆきます。
その後にインクで着色し各所にコテを当てて仕上げてゆきます。
その工程は画像に残しておりませんでした<(_ _)>
せっかくなので、
靴製作の際に使うコテの画像をのせてみますね。
ざっと並べてみましたがサイズ違いなど含めると倍ぐらいの本数があります。
道具はきちんと手入れをしておけば強い味方になってくれます!!
ソール側面を決める「コバゴテ」
飾りを入れる「飾り車」「踵車」
「目付」「いちょうゴテ」
こちらも「飾り車」関連。
右の2本は新しいのですが、
先日、東京の靴仲間が当店のオープン祝いにと送ってくれたものなんです。
新婚旅行でイギリスに行ったそうで靴関連の施設を巡り、
靴工具の工場も訪ねて工具を買い込んできたそうです。
「新婚旅行で大丈夫かい?」とも思いましたが(´▽`)
とにかく感謝感謝です!!
(日本では入手するのも難しいものなんです。)
早速ですが今回のソールの仕上げに使わせていただきました。
今後かなり活躍してくれそうです!!
ではでは、
靴の仕上がりです。
踵の革切れの修理、デザインは元々と同じには出来ませんが、
同じコードバンを使用し仕上げております。
ウェルト上端、ソール側面も整っています。
先程の飾りゴテを使用しています。
オールデンの純正に似たタイプです。
(まだ手に馴染んでいないので今後色々と試してみます。)
仕上り、
いかがでしょうか。
今回の様にウェルトが痛んでいても修理は可能ですし、
アッパーの革が切れたり裂けたりした靴も、
出来るだけ違和感の無いよう仕上げてまいります。
こちらもどうぞ、
諦めていた靴も一度ご相談いただければと思います。
本日もありがとうございました。